2月 もずく雑炊
寒中の二月のお食事は、温かなもずく雑炊です。もずくの名は、「藻に付く」つまり、他の藻に付着して成長するところから付けられたようですが、沖縄ではヌスイと呼ばれ、雑炊や酢の物ばかりではなく天麩羅などでも親しまれています。一般的に沖縄もずくは太く、本土のもずくは細いといわれています。太さの違いは、暖かな南の海で育つ為だと思われがちですが、実は種類が違うものなのです。
本土のもずくは、モズク科のもずくですが、沖縄のもずくは、ナガマツモ科の海藻です。高さが二十センチ、太さは一〜二ミリもあります。養殖も盛んで、沖縄の特産物になっています。
もずくのぬるぬるとした粘質は、好き嫌いの分かれるところですが、あのぬ るぬるには血中のコレステロール値を下げる働きがあるのです。
昨年、そのことがテレビのワイドショーで取り上げられるや、一瞬にして沖縄の市場からもずくの姿が消えたことがありました。放送中から市場の店の電話やFAXは鳴りっぱなしだったそうです。
テレビは移り気です。市場のもずく騒動は、台風のように一瞬のうちに通 り過ぎてゆきました。テレビはその後も、これが身体に良い、これを食べるとここに効きますと、時には医者の言葉なども挟みながら毎日のように放送しています。忘れられてしまったのでしょうか。土と光と水が育てるものは、みな身体に良いのです。
沖縄では古くから『食はクスイムン』といわれてきました。クスイムンとは薬物(くすりもの)と言い換えればよいでしょうか。中国では、食は上薬、身体の健やかなことを願って飲む薬を中薬、身体を悪くして呑む薬を下薬という言い方があるそうですが、沖縄のクスイムンは、食べることで身体を整えるという意味が込められた言葉です。
溢れるほどの食の情報に振り回される前に、古来から言われてきた『食は命なりけり』という根本のところに立ち返るべきなのかも知れません。
赤坂潭亭のもずく雑炊は、ご飯をサッと洗ってだし汁に入れ、塩抜きしたもずくと共に中火で炊きます。ご飯がふっくらしてきたら溶いた卵とアサツキを入れ、薄口しょうゆとまろやかな石垣の天然塩でさっぱりと仕上げます。
